松江地方裁判所 昭和56年(わ)33号 判決
判決主文
被告人を懲役一年六月及び罰金四〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金八万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間、右懲役刑の執行を猶予する。
罪となるべき事実
被告人は、松江市西津田町一二番一三に龍宮城グループ本部事務所を置き、松江市内にキャバレー龍宮城(一号店)、ヤング龍宮城(二号店)、グランド龍宮城(三号店)、ラブサロン龍宮城(四号店)の四店舗を有して飲食店業を営むとともに、自己所有のマンション三棟等で不動産賃貸業を営んで来たものであるが、昭和五二年一一月ころから自己の所得税を免れる目的をもって、右飲食店業において除外売上金記載ノート等の裏帳簿を作成し、売上収入の一部を除外し、その余を公表帳簿等に記載し、除外金を無記名或いは仮名の銀行定期預金を設定する等の不正な方法により、自己の所得を秘匿したうえ、
第一 昭和五二年分(昭和五二年一月一日から同年一二月三一日まで)の実際所得金額は事業所得三三一九万七二四六円、不動産所得一四九万二〇六八円、雑所得二六四万四三〇〇円で、総所得金額三七三三万三六一四円で、これに対し所定の各種控除のうえ算出した税額に特別減税した所得税額は一六五五万九二〇〇円であったのにかかわらず、正当な理由がないのに、法定の申告期限である昭和五三年三月一五日までに、所轄の松江税務署長に対し所得税の勘定申告書を提出せず、よって昭和五二年分の所得税一六五五万九二〇〇円を免れ、
第二 昭和五三年分(昭和五三年一月一日から同年一二月三一日まで)の実際所得金額は、事業所得一億六三五三万六八四二円、不動産所得二九四万六六三五円、譲渡の欠損一〇万七六九六円で総所得金額一億六六三七万五七八一円で、これに対する前同様の所得税額は一億〇九五四万七七〇〇円であったのにかかわらず、昭和五四年三月九日松江市内中原町二一番地所在松江税務署において、同税務署長に対し、昭和五三年分所得が事業所得七八二万三五五八円、不動産所得三四九万一二四六円、譲渡の欠損七万六二五〇円で総所得金額一一二三万八五五四円でこれに対する所得税額二五一万三七〇〇円である旨虚偽の確定申告書を提出し、よって同年分の正規の所得税額と申告税額との差額一億〇七〇三万四〇〇〇円を免れ、
第三 昭和五四年分(昭和五四年一月一日から同年一二月三一日まで)の実際所得金額は事業所得一億三四八九万五一九四円、不動産所得六二五万七一九八円、利子所得五〇万二一九一円で総所得金額一億四一六五万四五八三円で、これに対する所得税額は九〇七九万〇四〇〇円であったのにかかわらず、昭和五五年三月一五日前記松江税務署において、同税務署長に対し、昭和五四年分の所得金額が事業所得八二一万一四八三円、不動産所得六二五万七一九八円の合計一四四六万八六八一円で、これに対する所得税額が三八八万〇九〇〇円である旨虚偽の確定申告書を提出し、よって同年分の正規の所得税額と申告税額との差額八六九〇万九五〇〇円を免れ
たものである。
(適用した罰条)
判示各所為
所為時においては、昭和五六年法律第五四号脱税に係る罰則の整備を図るための国税関係法律の一部を改正する法律による改正前の所得税法二三八条一項、二項、裁判時においては、右法律による改正後の同法二三八条一項、二項(刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑による、情状により懲役刑、五〇〇万円をこえる罰金刑を併科)
(併合加重)
刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)罰金刑につき同法四八条二項
(換刑処分)
同法一八条
(懲役刑の執行猶予)
同法二五条一項
(裁判官 柴田秀樹)